はじめてのPythonコード:print関数で挨拶しよう#

はじめに#

前回の記事では、Google Colabの使い方を学びました。環境が整ったところで、今回はいよいよ本格的なPythonプログラミングを始めていきましょう。

この記事では、Pythonプログラミングの第一歩として「print関数」について学びます。print関数は、プログラムから何かを画面に表示するための基本的な機能で、初心者が最初に学ぶべき重要な要素です。

print関数とは?#

「print」という言葉は英語で「印刷する」という意味ですが、プログラミングの世界では「画面に表示する」という意味で使われます。Pythonのprint()関数は、括弧()の中に書いた内容を画面に出力(表示)してくれる機能です。

これから最も基本的なprint関数の使い方を試してみましょう。

最初のPythonコード:Hello, World!#

まず、Google Colabを開いて、新しいノートブックを作成します。タイトルは「はじめてのPythonコード」としておきましょう。

プログラミングの世界では、新しい言語を学び始める際に「Hello, World!」と表示するプログラムを書くのが伝統です。これは最もシンプルなプログラムでありながら、その言語の基本的な構文(書き方のルール)を学ぶのに最適だからです。

前回もやりましたが、まずはGoogle Colabのコードセルに以下のコードを入力して実行してみましょう。

>
print("Hello, World!")

実行結果:

Hello, World!

この簡単なコードから、いくつかの重要な点を学ぶことができます。

  1. printは関数名(関数とは、特定の処理を行うための命令の集まりです。後の記事で詳しく学びます)
  2. ()(丸括弧)の中に表示したいものを書く
  3. 文字列(テキスト)は ""(ダブルクォーテーション)または ''(シングルクォーテーション)で囲む

いろいろな表示を試してみよう#

1. 文字列(テキスト)の表示#

先ほどは「Hello, World!」という文字列を表示しました。他にも好きな文字列を表示してみましょう。

>
print("こんにちは、Python!")
print('プログラミングは楽しい')

実行結果:

こんにちは、Python!
プログラミングは楽しい

注目してほしいのは、文字列を囲むのにダブルクォーテーション"とシングルクォーテーション'のどちらも使えることです。どちらでも機能は同じですが、文字列の中にクォーテーションを含めたい場合は、外側と異なるタイプを使うと便利です。

>
print("Pythonで'プログラミング'を学ぶ")
print('彼は"こんにちは"と言いました')

実行結果:

Pythonで'プログラミング'を学ぶ
彼は"こんにちは"と言いました

2. 数値の表示#

文字列だけでなく、数値もそのまま表示できます。数値はクォーテーションで囲む必要はありません。

>
print(42)
print(3.14)

実行結果:

42
3.14

3. 計算結果の表示#

print関数の中で直接計算を行い、その結果を表示することもできます。

>
print(5 + 3)
print(10 - 2)
print(4 * 3)
print(20 / 5)

実行結果:

8
8
12
4.0

4. 複数の項目を一度に表示する#

複数の項目をコンマ,で区切ることで、一度に表示することができます。

>
print("合計:", 5 + 3)
print("私の名前は", "田中", "です")
print(2023, "年", 4, "月", 1, "日")

実行結果:

合計: 8
私の名前は 田中 です
2023 年 4 月 1 日

コンマで区切られた項目の間には、自動的にスペース(空白)が挿入されます。

5. 特殊な文字の表示#

Pythonでは、バックスラッシュ\を使って特殊な文字を表現できます。よく使われるものをいくつか紹介します。

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# 改行を挿入する \n
print("1行目\n2行目\n3行目")

# タブを挿入する \t
print("名前:\tPython")

# バックスラッシュ自体を表示 \\
print("パス例: C:\\Users\\Name")

実行結果:

1行目
2行目
3行目
名前: Python
パス例: C:\Users\Name

print関数の応用#

1. セパレータを変更する(sep引数)#

先ほど見たように、複数の項目をコンマで区切ると、それらの間にスペースが自動的に挿入されます。この区切り文字(セパレータ)はsep引数で変更できます。

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print("年", "月", "日", sep="/")
print("Python", "は", "楽しい", sep="")
print("1", "2", "3", "4", "5", sep="-")

実行結果:

年/月/日
Pythonは楽しい
1-2-3-4-5

2. 行末の文字を変更する(end引数)#

通常、print関数は表示後に改行します。この動作はend引数で変更できます。

>
print("Hello", end=" ")
print("World")

print("1", end=", ")
print("2", end=", ")
print("3")

実行結果:

Hello World
1, 2, 3

3. フォーマット済み文字列(f-string)の使用#

Python 3.6以降では、f-string(フォーマット済み文字列)という便利な機能があります。文字列の先頭にfをつけることで、文字列内に変数や式を直接埋め込むことができます。

>
name = "太郎"
age = 30
print(f"私の名前は{name}で、{age}歳です。")

x = 10
y = 5
print(f"{x} + {y} = {x+y}")
print(f"{x} × {y} = {x*y}")

実行結果:

私の名前は太郎で、30歳です。
10 + 5 = 15
10 × 5 = 50

f-stringを使うと、変数の値や計算結果を文字列の中に簡単に埋め込むことができ、読みやすいコードが書けます。

気をつけるべきポイント#

1. 半角と全角#

Pythonでは、半角と全角の区別が非常に重要です。特に、クォーテーションやカンマ、括弧などは半角で書く必要があります。全角で書くとエラーになりますので注意してください。

>
# 正しい例
print("こんにちは")  # 半角のクォーテーション

# 間違った例
print"こんにちは"# 全角の括弧
print"こんにちは"# 全角のクォーテーション

もしこのように間違えてしまうと、「SyntaxError」という構文エラーが表示されます。

  File "<ipython-input-1-59e367448953>", line 5
    print("こんにちは")  # 全角の括弧
         ^
SyntaxError: invalid character '(' (U+FF08)

2. クォーテーションの対応#

文字列を囲むクォーテーションはペアで使う必要があります。始めと終わりで同じ種類のクォーテーション("または')を使います。

>
# 正しい例
print("こんにちは")
print('こんにちは')

# 間違った例
print("こんにちは')  # クォーテーションが不一致

3. 文法エラー#

他にも、print関数の括弧を忘れたり、不適切に使ったりするとエラーになります。

>
# 正しい例
print("こんにちは")

# 間違った例
print "こんにちは"  # 括弧が必須
print("こんにちは"  # 閉じ括弧を忘れている

エラーが発生した場合は、エラーメッセージをよく読み、どこが間違っているのかを確認しましょう。プログラミングでは、記号や書式が少しでも違うとエラーになりますので、注意が必要です。

コードをどう書けば良いかわからない場合は、AIに質問してみるのも良いでしょう。ColabにはGoogleの生成AI Geminiが搭載されており、Colabの画面上で直接質問することができます。また、エラーが発生した場合は、セルの下に「エラーの修正」や「エラーの説明」といったボタンが表示され、エラーの原因や修正方法を提案してくれます。

ColabでGeminiを使う

Geminiが英語で回答することがありますが、「日本語で答えて」と指示すれば日本語で答えてくれます。英語が苦手な方でも安心です。

まとめ#

この記事では、Pythonの基本中の基本であるprint()関数について学びました。

  • print関数は、画面に情報を表示するための基本的な手段
  • 文字列、数値、計算結果など、さまざまな種類の情報を表示できる
  • 複数の項目をコンマで区切って一度に表示できる
  • sep引数で区切り文字を、end引数で行末の文字を変更できる
  • f-stringを使うと、文字列の中に変数や式を簡単に埋め込める

print関数は、プログラムの実行状況を確認したり、ユーザーに情報を伝えたりする上で非常に重要な機能です。これからのプログラミング学習でも頻繁に使うことになるでしょう。