組み込み関数:Pythonの基本機能を使いこなそう#
はじめに#
プログラミングでは、よく使う処理があらかじめ「関数」としてパッケージ化されています。Pythonには最初から使える便利な関数がたくさん用意されており、これらを「組み込み関数(built-in functions)」と呼びます。これまでの記事でも、print()
やinput()
など、いくつかの組み込み関数を使ってきました。
今回は、Pythonプログラミングでよく使う主な組み込み関数について学びます。すでに登場した関数もありますが、ここで改めて整理しておきましょう。これらの関数を知っておくことで、コードをより効率的に書けるようになります。
組み込み関数とは?#
組み込み関数とは、Python言語にあらかじめ組み込まれている関数のことです。以前登場したmath
モジュールのようなimport
文を書かなくても利用でき、Pythonを使う上で基本的な機能と言えます。
Pythonにはたくさんの組み込み関数がありますが、全てを覚える必要はありません。よく使う関数から少しずつ学び、必要に応じて調べながら使うのが良いでしょう。
よく使う組み込み関数を知ろう#
1. 型変換関数#
以前の記事でも紹介しましたが、型変換はとても重要な操作です。
int(), float(), str()#
これらの関数は、あるデータ型から別のデータ型に変換するときに使います。
# 整数に変換
print(int(3.14)) # 小数点以下は切り捨て
print(int("10")) # 文字列を整数に変換
# 浮動小数点数(小数)に変換
print(float(5)) # 整数から小数へ
print(float("3.14")) # 文字列から小数へ
# 文字列に変換
print(str(42)) # 整数から文字列へ
print(str(3.14)) # 小数から文字列へ
実行結果:
3
10
5.0
3.14
42
3.14
型変換関数は、データの形式を揃えたり、計算できるようにしたりするのに役立ちます。
2. 数値関連の関数#
abs() - 絶対値#
数値の絶対値(マイナスを取り除いた値)を返します。
print(abs(5)) # 5
print(abs(-5)) # 5
print(abs(-3.14)) # 3.14
実行結果:
5
5
3.14
max(), min() - 最大値と最小値#
複数の値から最大値や最小値を取得します。
print(max(5, 10, 3)) # 最大値
print(min(5, 10, 3)) # 最小値
# リストの中からでも取得できます
numbers = [12, 7, 19, 4]
print(max(numbers))
print(min(numbers))
実行結果:
10
3
19
4
round() - 四捨五入#
数値を四捨五入します。小数点以下の桁数も指定できます。
print(round(3.14159)) # デフォルトは整数に丸める
print(round(3.14159, 2)) # 小数点以下2桁に丸める
print(round(3.14159, 3)) # 小数点以下3桁に丸める
# 負の数も同様に丸められます
print(round(-3.14159, 2)) # -3.14
実行結果:
3
3.14
3.142
-3.14
3. シーケンス(リスト、文字列など)関連の関数#
len() - 長さを取得#
リストや文字列など、シーケンス型のデータの長さ(要素数)を返します。
# 文字列の長さ(文字数)
text = "こんにちは、Python!"
print(len(text)) # 12(全角も1文字としてカウント)
# リストの長さ(要素数)
fruits = ["りんご", "バナナ", "オレンジ"]
print(len(fruits)) # 3
実行結果:
12
3
sorted() - 並べ替え#
リストを並べ替えた新しいリストを返します。
# 数値のリストを昇順に並べ替え
numbers = [5, 2, 8, 1, 9]
sorted_numbers = sorted(numbers)
print(sorted_numbers)
# 文字列も並べ替えできます
text = "python"
sorted_text = sorted(text)
print(sorted_text)
# 降順に並べ替え
desc_numbers = sorted(numbers, reverse=True)
print(desc_numbers)
実行結果:
[1, 2, 5, 8, 9]
['h', 'n', 'o', 'p', 't', 'y']
[9, 8, 5, 2, 1]
sum() - 合計#
数値のリストの合計を計算します。
numbers = [1, 2, 3, 4, 5]
total = sum(numbers)
print(total)
実行結果:
15
4. データ調査の関数#
type() - 型の確認#
オブジェクトの型(データ型)を返します。
print(type(42)) # 整数型
print(type(3.14)) # 浮動小数点数型
print(type("Python")) # 文字列型
print(type([1, 2, 3])) # リスト型
実行結果:
<class 'int'>
<class 'float'>
<class 'str'>
<class 'list'>
5. 入出力関数#
print() - 画面に出力#
これまでに何度も使ってきた関数です。データを画面に表示します。
print("こんにちは!") # 基本的な使い方
# 複数の項目を表示
print("名前:", "太郎", "年齢:", 25)
# sep引数で区切り文字を変更
print("年", "月", "日", sep="/")
# end引数で行末を変更
print("こんにちは", end=" ")
print("Python!")
実行結果:
こんにちは!
名前: 太郎 年齢: 25
年/月/日
こんにちは Python!
input() - ユーザー入力を取得#
前回の記事で詳しく学びました。ユーザーからのキーボード入力を受け取ります。
# 入力を受け取る
# (実際に入力できるようにするには、このセルを単独で実行する必要があります)
name = input("お名前を入力してください: ")
print(f"こんにちは、{name}さん!")
実行例(「田中」と入力した場合):
お名前を入力してください: 田中
こんにちは、田中さん!
組み込み関数の探し方#
Pythonには、ここで紹介した以外にもたくさんの組み込み関数があります。全てを覚える必要はありませんが、どのような関数があるのか知っておくと便利です。
組み込み関数の一覧は、Pythonの公式ドキュメント↗ で確認できます。
まとめ#
この記事では、Pythonの組み込み関数について学びました。
- 組み込み関数とは、Pythonに最初から用意されている便利な関数のこと
- 型変換関数(
int()
,float()
,str()
)は、データ型を変換する - 数値関連の関数(
abs()
,max()
,min()
,round()
)は、数値の計算や比較に役立つ - シーケンス関連の関数(
len()
,sorted()
,sum()
)は、リストや文字列などを扱う type()
関数でデータの型を確認できるprint()
とinput()
は入出力のための基本的な関数
組み込み関数を上手に活用すると、コードがシンプルになり、読みやすくなります。プログラミングでは、「車輪の再発明」(すでにある機能を自分で一から作ること)を避け、既存の関数をうまく使うことが大切です。
必要に応じてPythonの公式ドキュメントやオンラインの資料を参照しながら、組み込み関数を使いこなせるようになりましょう。